整形外科

診療科紹介

整形外科は、身体のなかでも頭部と内臓をのぞく四肢(手足)と脊椎(せぼね)の疾患が対象であるため多くの疾患があります。

疾患の種類では骨折や脱臼などの外傷、関節疾患、脊椎疾患、末梢神経疾患、骨軟部腫瘍、スポーツ外傷などを扱いますが、なかでも主に行っているのは外傷、関節疾患です。当科では変形性関節症、関節リウマチ等に対する人工股関節手術が多く行われていますので、それらについて解説いたします。

また現在、人工股関節手術術前の患者さんに対して全例でコンピュータによる術前シミュレーションを行い良好な結果を得ていますので解説いたします。

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人工股関節手術について

人工股関節置換術とは

人工股関節置換術とは股関節のかみ合っている部分が病気によって壊れてしまった患者さんにおいて関節を人工物に代えることで、再び痛みなく歩けるようにする手術です。人工関節の主たる目的は関節の痛みをとることです。

ほとんどの患者さんで、痛みは完全になくなり、関節の動きがよくなり、歩きやすくなります。この手術を行う代表的な病気は、変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死症です。手術は痛みが強く日常生活に支障をきたしている人に行ないますが、手術を行う時期は患者さんと相談の上決定しています。

人工股関節置換術を予定される患者さんへ

手術を受けることができる全身状態であるかを調べるために、血液・尿検査、心電図、胸部レントゲンなどの術前検査を行います。

検査結果に異常があった場合は、専門科を受診していただくことがあります。当院以外の病院で治療中の病気がある場合は、その治療や処方薬などの情報について、受診されている医師に確認してください。薬剤の中には、手術前にあらかじめ中止する必要のあるものがあります。

むし歯や歯槽膿漏のある方はその治療を終えてから人工関節の手術を行うようにします。タバコを吸っている患者さんでは麻酔リスクの点から、また院内が禁煙であることからも、少なくとも一定期間の禁煙をしていただくことを御勧めしています。

輸血について

以前には、初回人工股関節手術でも自己血輸血を準備していましたが、最近では、手術手技の改良、手術時間の短縮により出血を少なくするようにしていますので、原則的には自己血輸血は行っていません。おおむね9割以上の患者さんで輸血なしでの手術を行っています。

長時間手術が予測される人工股関節再置換術などでは、自己血輸血を準備するようにしています。

その場合は術前3~4週の間に自己血貯血(400gを2回)を行い、院内で保存し、術後に本人に自己血輸血を行っています。ただし、貧血などのために自己血を採取できない患者さんもおられます。また、自己血輸血だけでは不足する場合は、同種血輸血(血液銀行の血液)が必要なこともあります。

麻酔について

人工股関節手術では麻酔科医師により全身麻酔又は、脊髄くも膜下麻酔(下半身麻酔)を行っています。手術中に痛みを感じることは無いようにして手術を行います。

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人工関節手術後の経過
人工関節手術後の経過
手術当日 帰室後、麻酔から覚めた時点で水分をとることができます。
手術翌日 朝から食事をとることができます。ベッド上で身体をおこすことができます。
術後2日目以降 理学療法士の指導のもとで車椅子移動と平行棒内歩行を開始します。
術後1~2週 1本杖で歩行訓練開始
術後3週 1本杖歩行にて退院します。(退院時期については個人差があります。)ほとんどの患者さんは階段昇降も可能です。
合併症

人工股関節手術では麻酔科医師により全身麻酔又は、脊髄くも膜下麻酔(下半身麻酔)を行っています。手術中に痛みを感じることは無いようにして手術を行います。

早期合併症には、出血、感染、脱臼、深部静脈血栓、肺塞栓などがあります。また晩期合併症には、感染、脱臼、人工関節のゆるみ、摩耗、破損などがあります。

合併症
出血 当科では人工股関節手術に際しては、極力同種血輸血を避ける工夫を行っています。貧血のみられる患者さんでは同種血輸血を準備して安全な手術を行うようにしています。
感染 関節内はもともと無菌状態なので、細菌に弱いという性質があります。そこに大きな人工物が入るので、一旦感染すると大変治りにくくなります。統計上は、人工関節手術を行った患者さんの生涯にわたっての感染率は1~2%といわれています。予防が大切で、当院の人工関節手術はクリーンルームという手術室の空気がフィルターを通過した清浄な部屋で行い、さらに術者は全員宇宙服のような手術着を着用して感染予防につとめています。
ちなみに2000年月以降、当科での初回人工股関節術後の早期感染頻度は0.5%未満でした。しかし、免疫力の低下した患者さんでは術後数年以後に感染をおこす危険性があり、当院でも散見されます。予防としては常に健康管理を行い、風邪をひいたら早めに治療すること、むし歯や水虫の感染などを放置しないなどが必要になります。
脱臼 人工股関節はもともと骨盤側と大腿骨側を別々に手術して手術中に関節を整復している(はめ合わせている)ため、特に手術直後においては曲げすぎたり、捻りすぎるとまれに脱臼することがあります(統計上は1~5%)。手術後しばらくの間、脱臼予防のためにベッド上で三角の外転枕という大きなスポンジを両下肢のあいだに挟んでいただきます。ちなみに2000年4月以降、当科での初回人工股関節術後の脱臼頻度は0.5%未満でした。
深部静脈血栓、肺塞栓 術後ベッド上安静をしていると、ふくらはぎの奥にある静脈に血の塊が付着してしまう病気です。この病気になると下肢が術後に著しく腫れ、痛みがでるなどの症状を来しますが、更にこの血の塊が血流に乗って肺の血管を詰めてしまうと、場合によっては生命に関わるような重篤な症状を来すことがあります。航空機に乗っていておきるエコノミークラス症候群と同様の状態です。当院ではこの合併症を予防する目的で血栓予防注射、フットポンプ、早期リハビリ開始などの対策を行っております。
人工関節のゆるみ、破損、摩耗 人工股関節の代表的な素材として金属、ポリエチレン、セラミック、骨セメントなどが用いられていますが、経年変化により摩耗や破損をきたすことがあります。また破損は無くとも人工股関節が生体内で移動してしまうことがあります。このような場合には、時期を逃さずに再置換術を行うことが必要です。再置換術を行うような患者さんでは骨盤や大腿骨に骨欠損を伴うことがしばしばあるため、当院では院内骨銀行を設置して股関節手術に際して不要となった大腿骨頭を廃棄せずにマイナス80度の低温保存を行い、再置換手術に備えています。
人工関節の術後注意点

術後、ほとんどの場合、股関節痛は軽くなり、楽に生活ができるようになりますが、人工股関節はあくまでも「人工の」関節ですので、長持ちさせるにはいくつかの注意点があります。

手術後に気を付けるべき点として、けがをしないこと、感染症にならないようにすることが大事です。散歩など適度な運動を継続することが大切ですが、くれぐれも転倒しないように気をつけてください。長距離歩行される場合は原則として杖を使用してください。衝撃が股関節に加わる運動は人工関節を早くいためてしまい、ゆるみの原因になりますので、ジャンプをしたり、走ったりする運動はできるだけ避けるようにしてください。もし傷ができた場合や、水虫(白癬)などの皮膚疾患が生じた際は、医師によりすみやかに治療をうけ、悪化しないように気をつけましょう。

また、痛みがなくても、レントゲン検査で人工関節の状態を定期的にチェックすることも大切なことです。これは人工関節のゆるみなどの問題がおきたときには、痛みなどの自覚症状よりも、レントゲン検査のほうが早くわかることが多いからです。退院後しばらくは月に1回程度、その後は3~6カ月に1回の通院により経過観察を行います。

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人工股関節手術術前シミュレーションについて

従来の人工股関節置換術では、術前に透明ビニールに印刷された二次元の人工関節の型紙(二次元テンプレート)をレントゲンに重ねて人工関節のサイズを決定していました。骨盤や大腿骨は立体的であるためこの方法ではおおまかなサイズがわかるだけで、ましてや人工関節と骨の接合がうまく行くかどうかは実際の手術現場で確認するというのが現状でした。

とくにわが国の変形性股関節症では股関節の変形が高度な症例が多いため、単純レントゲンでは詳細な術前計画をたてることが困難でした。この問題を解決するために我々は1995年より名古屋市立大学において三次元テンプレートを用いた人工股関節の術前シミュレーションシステムを開発し現在はパソコン上でシミュレーションが可能になりました。

その内容は患者さんに股関節のCT撮影(所要時間10~15分程度)をしていただきます。これによりパソコン上で股関節の三次元表示を行います。あらかじめ準備された市販の人工股関節の各種サイズの型紙(三次元テンプレート)を股関節に重ね合わせて模擬手術を行います。

もし市販の人工関節で設置不能な場合は、世界に一つしか無いオーダーメイドの人工関節を作成することも可能です。やり直しが効かない(容易ではない)人工股関節手術に対して当科では全例の患者さんにこの術前シミュレーションを実施しています。手術は迷っている患者さんでもCT撮影さえしていただければ、模擬手術を行うことが可能です。

人工股関節手術術前シミュレーションの画像
1. 術前正面像(左変形性股関節症) 2. 術前側面像
術前正面像(左変形性股関節症) 術前側面像
3. 大腿骨を除去した側面像 4. 直径44mmのソケットを設置したところ
大腿骨を除去した側面像 直径44mmのソケットを設置したところ
5. ステム設置のシミュレーション 6. 人工関節設置のシミュレーション
ステム設置のシミュレーション 人工関節設置のシミュレーション

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手のケガ・疾患の治療

マイクロサージャリーを用いた手術治療
 手のケガや疾患の手術治療は、細かな血管や神経、腱などが対象となるため繊細な操作が求められます。当科では必要に応じ手術顕微鏡を用いた正確な治療を心がけています。

代表的な手の疾患
●バネ指

 指の曲げ伸ばしに伴って、何かがひっかかったたようにパキンパキンとなる症状で、手のひらにある屈筋腱(指を曲げる腱)の腱鞘(トンネンル状の通り道)が炎症を起こしてきつくなることが原因です。安静や注射で改善しないときはひどくなる前に手術を受けた方が良い場合があります。

●手根管症候群

 手指のしびれ痛みで、親指・人差し指・中指に多く起こります。手のひらにある靭帯によって指へ伸びる神経が圧迫されてことで起き、女性に多く、夜間や朝に症状が強いことが多いようです。安静やお薬で治ることもありますが手術を受けた方が良い場合もあるのでご相談下さい。当科では状況に応じて内視鏡を用いた手術にも対応いたします。

●関節リウマチによる手・指関節の変形、機能障害

 近年の治療薬の進歩によって関節リウマチの進行は食い止めることができる例も多くなりましたが、変形した関節の治療にはやはり手術が最善な場合もあります。手や指の関節は特にリウマチによる変形を起こしやすく、脱臼や腱の断裂により機能の障害はもちろんのこと、変形した外観の手指はつい隠したくなる等、整容的な面からも重要な問題です。指用の人工関節、関節形成術等症状に応じて対応いたします。

<スワンネック変形> 
 指先の関節が曲がり、その根元の関節が逆方向に反ったためにまるで白鳥の首の様にみえる変形です。程度の軽いものであれば装具を使用しますが手術の方が効果的な場合もあります。
整形外科写真1整形外科写真2
おや指スワンネック変形 手術前       同 手術後

<ボタンホール変形>
 スワンネック変形とは逆方向に指の関節が曲がった状態です。写真のように指の真ん中の関節が強く曲がり、この部分で指を伸ばす腱が中央で縦に裂け、その裂け目から関節の骨がボタン穴を通るボタンのようにのぞいているのでボタン穴変形と呼ばれています。
整形外科写真3整形外科写真4
中指とくすり指のボタンホール変形 手術前             同 手術後

<手指腱の自然断裂>
 炎症や変形した骨や関節の影響ではっきりした原因もなく腱が切れてしまうことがあります。自然には治らないため手術をお勧めします。
整形外科写真5整形外科写真6
くすり指と小指の伸筋腱の断裂 手術前              同 手術後

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医師紹介
医師紹介
医師名専門・資格
副院長(経営戦略担当)
第一整形外科部長
吉田 行雄
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会指導医・専門医
第二整形外科部長
千田 博也
日本整形外科学会専門医
手外科専門医
リハビリテーション科部長
南谷 千帆
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
第一整形外科副部長
大杉 佳哉
日本整形外科学会専門医
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
中部日本整形外科災害外科学会
日本骨折治療学会
第二整形外科副部長
福田 誠
日本整形外科学会専門医
日本外傷診療研究機構
日本救急医学会
第一整形外科医師
佐野 嘉紀
日本整形外科学会専門医
第二整形外科医師
立松 尚衞
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
リハビリテーション科医師
板垣 進介
医師
焼田 有希恵
日本整形外科学会
医師
神田 滋人

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外来診療担当

こちらをご覧ください。

診療実績

平成26年度 整形外科手術件数・内訳
関節164
  人工関節119
    股関節(再置換その他)68(22)
    膝関節(再置換その他)51(3)
  関節鏡33
    膝半月板手術11
    前十字靭帯再建術5
    その他17
  その他12
脊椎72
  頚椎19
  胸腰椎53
手外科69
外傷480
  骨折467
     上肢骨折103
     下肢骨折82
     大腿骨近位部骨折195
     抜釘術その他87
   その他13
その他49
合計834

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