頭部外傷

外傷による重要な疾患として急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫・慢性硬膜下血腫があります。どの疾患も外傷により頭蓋骨の中に血液が貯留し、その血液によって脳本体が圧迫されることによって症状が出現します。

挿絵・頭部外傷急性硬膜下血腫と急性硬膜外血腫は大きな力が加わる頭部外傷によって生じることが多いです。症状としては受傷時からの意識障害、頭痛、嘔気、めまい、錯乱、けいれん発作などがあります。貯留した血液が少量の場合には手術を行なわず、保存的に治療を行なう事も可能ですが、量が多い場合には緊急で頭を大きく開けて血液を取り除く手術が必要になります。しかし、この2つの疾患はとても重症であり急性硬膜外血腫では約10%が死亡あるいは後遺症を残し、急性硬膜下血腫では死亡率は約50%にも達します。早期の診断と、出来る限り早く血液を取り除き、脳の圧迫を解除することが重要です。

慢性硬膜下血腫は高齢者に多く、受傷時は特に症状などはありません。しかし頭蓋骨内にゆっくりと血液が貯留することで3週間~2カ月くらい経過してから徐々に症状が出現してきます。主な症状としては変動する意識障害、認知症状、半身麻痺などがあります。診断は頭部CTで痛みなどなく診断することが可能であり、治療も局所麻酔による短時間の手術で症状の改善が期待できる事が多いです。再発率はおおよそ10~20%といわれています。

認知症の多くは加齢などに伴うもので劇的な改善は難しいことが多いですが、慢性硬膜下血腫による認知症状であれば改善を期待できることもあります。慢性硬膜下血腫は軽い外傷によっても生じうるので患者さんの中には特に受傷機転の不明なことも多いです。認知症の出現したときは一度頭部CT検査を受けていただくのがよいかと思います。

挿絵・診察頭を打った時などは、受傷した後に、どんどんひどくなる頭痛、意識障害、頻回嘔吐、けいれん、ものが2重にみえるなどの症状が出現した場合には病院を受診し、頭部CTなどで頭の中に出血などしていないか検査を受けた方がよいと思います。またそのような症状がなくとも心配であればいつでも受診して下さい。

[このページの先頭へ]