脳出血

脳出血とは

脳出血とは、脳を貫いて走る非常に細い血管(穿通枝)が破綻して出血し、出血に巻き込まれた神経細胞が障害される病気です。原因の多くは高血圧で、高血圧性脳出血は、高血圧症や動脈硬化が起こる、50~60歳代に好発します。高血圧の状態が続くと、穿通枝などの細い血管にストレスがかかり、動脈硬化が進行します。もろくなったり微小な動脈瘤を形成したりして、血圧の変動に耐えられなくなった血管が、血圧が上昇した際に破れて出血すると考えられています。脳室内出血を伴うこともあります。

出血を生じた場所や大きさによって症状は異なってきますが、典型的な症状としては、手足の脱力(運動麻痺)や言葉がしゃべりにくい・理解できない(失語)、呂律が回らない(構語障害)、半身の感覚が鈍い(感覚障害)などが主で、重症の場合には呼んでも目を開けられない(意識障害)、意識がなくて呼吸が不整で浅い(脳幹の呼吸中枢の障害)などの症状があり、命が失われることもあります。発症様式としては突然に発症するのが特徴です。また、回復後も後遺症に重症な症状を残すことが少なくありません。

脳出血の危険因子としては、高血圧は当然のことながら、喫煙、アルコールの飲み過ぎ、ウェスト/ヒップ比の高値、高齢、男性、血清総コレステロール低値などが科学的に確認されています。単に高血圧のみではなく、危険因子の重複によって出血の危険性が非常に高くなります。

最大の危険因子である高血圧の薬物管理の発達により、脳出血による死亡率は昭和35年以降低下しており、平成20年は26.7%となっています。しかし、現在でも脳卒中全体として、日本の3大死因の一つであり、依然として重要な疾患には変わりありません。

高血圧性以外の脳出血の原因としては、脳血管の異常が挙げられます。生まれつきの異常による脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)や海綿状血管腫(かいめんじょうけっかんしゅ)、硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)と呼ばれる病気があり、高血圧性と比べ、若い人に起こることが多いようです。大きさや発生部位は様々であり、脳内出血になる場合やくも膜下出血になる場合があります。

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脳出血の治療

高血圧に起因する脳出血は、出血を生じた部位とその範囲、患者さんの年齢および合併している病気などを総合的に検討した上で治療方法を決定します。治療は大きく分けて、内科的に治療する保存的治療と、外科的治療(手術)の2つに分かれます。

保存的治療
  1. 再出血の予防のための治療
    発症からしばらくは血腫増大の危険があります。血圧管理や止血剤の点滴を行います。
  2. 脳の腫れに対する治療
    血腫周囲には脳のはれ(脳浮腫)が生じ、神経の働きを悪化させたり、生命に危険を及ぼすこともあります。脳の腫れは、脳出血の発症から数時間後に出現し1~2週間持続します。抗脳浮腫薬を点滴投与します。
    その他に、全身性合併症に対する治療も重要です。脳出血に伴う合併症としては、肺炎、消化管出血、尿路感染症などが多く、生命にも関わることがあるため、適宜治療を行います。
外科治療

出血が大きく生命に危険が及んでいると判断される場合には、緊急で開頭による血腫除去術を考慮します。また、出血はやがて吸収されますが、吸収が遅いために回復が遅くなる場合があり、その場合は、定位的血腫除去術により血腫を取り除くことがあります。

  1. 開頭による血腫除去術
    全身麻酔をかけて、頭蓋骨を一部はずして脳を露出し、顕微鏡下に出血塊を除去します。出血している血管があれば止血します。基本的には神経症状の改善を主目的としたものではなく救命を目的として緊急で行われることが多い外科治療です。
  2. 定位的脳内血腫吸引術
    まず、局所麻酔または全身麻酔で、定位脳手術装置を頭部に装着し、吸引する血腫の部位の3次元座標値をCTで計測します。次に頭蓋骨に小さな穴をあけ、穿刺針を3次元座標値に合わせて挿入し血腫を吸引する方法です。手術は短時間(約30分間)で終了し、手術手技は簡単で低侵襲であり高齢者でも手術できます。全身麻酔による血腫除去術が、種々の理由でできない場合に行われることもあります。内視鏡を併用して行うこともあります。
    その他に脳室ドレナージ術といって、出血が脳脊髄液の貯流した脳室というところに大量に流れ込むことによって生じた脳脊髄液の循環障害を改善させる目的で脳室内に細い管を挿入する手術があります。局所麻酔下に行うことが多く、頭蓋骨に小さな穴を開けて、細い管を脳室に挿入し、一定量の値の混ざった髄液を暫く排出させます。

また、脳血管の先天的な原因による場合は、出血の治療は内科的に、原因に対して外科的に治療を分けて行う事もあります。

点滴や手術などの急性期の治療後には、できるだけ早期からリハビリテーションを開始して機能の回復を図ります。

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