第18回「前立腺がん」

名古屋市立東部医療センター 市民健康講座

前立腺がん

開催日:平成18年3月22日(木曜日)
演者:泌尿器科部長 河合 憲康

検査のイラスト前立腺は膀胱の下にある胡桃大の男性特有な臓器です。その前立腺にガン細胞が出現したものが前立腺癌です。

その特徴は、

  1. 高齢男性に多いこと
  2. 進行は比較的ゆっくりであること
  3. 初期には無症状であることが多いことです。

その頻度の特徴は、欧米では男性の癌死原因の第2位であること、日本でも増加率は一番で、2020年には罹患率の第2位になると予測されていることです。

前立腺癌ではスクリーニング検査による早期発見が大切です。そのスクリーニング検査には、

  1. PSA(前立腺特異抗原)
  2. 直腸診
  3. 経直腸的超音波検査が組み合わせて行われます。

PSA検査は血液検査ですが、結果が4.0ng/ml以上のときは泌尿器科受診をお勧めします。スクリーニング検査で前立腺癌が疑われた場合は、確定診断のために前立腺生検を行います。経直腸超音波ガイド下で6-12箇所の生検をします。そこで前立腺癌と診断された場合は、CT, MRI, 骨シンチグラフィーを行い、癌の全身における広がり(転移)を検査します。

癌の広がりによって前立腺癌の治療法は様々です。75歳以下で全身状態が良好の方で前立腺内に癌がとどまっている場合(限局性癌)は前立腺全摘術の適応があります。最近では腹腔鏡下手術も行われるようになりました。

限局性から浸潤性まですべての前立腺癌で、内分泌療法、放射線療法は有効です。放射線療法では、

  1. 外照射
  2. 内照射

があります。

外照射は従来からある体の外から放射線を照射する方法ですが、最近ではコンピュータ制御で前立腺だけに放射線を照射する三次元照射ができるようになりました。内照射はヨード125という線源を前立腺に複数埋め込む方法です。

これは限局性でしかも中ぐらいの悪性度までの前立腺癌までしか適応がありません。内分泌療法の基本は前立腺癌を増殖させるもとである男性ホルモンを抑制するということです。

男性ホルモンは95%が精巣から作られ、残り5%は副腎から作られます。リュープリン、ゾラデックスという注射は95%の精巣からのテストステロンは抑制できますが、のこり5%の副腎からのテストステロンは抑制できません。この残り5%のテストステロンを抑制するためにカソデックス、オダインというお薬を内服して頂きます。

通常はこれらの注射と内服を併用することで、95+5=100%のテストステロンを抑制する治療をします。これらの治療も効果がなくなったときは抗ガン剤の点滴をすることがあります。

前立腺癌は早期に発見できれば、前立腺全摘で根治が期待できます。人間ドック等でのPSA測定をお勧めします。

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