第13回「大腸のポリープとがん」

名古屋市立東部医療センター 市民健康講座

大腸のポリープとがん

開催日:平成17年10月19日(水曜日)
演者:第三内科部長 横山 善文

ポリープとがんのイラスト胃がんによる死亡率が年々減少傾向にある一方、大腸がんの死亡率は増加の一途を辿っています。平成16年のわが国の統計では、男性では肺がん、胃がん、肝がんに次いで第4位、約2万2千人、女性では、ついに第1位となり、約1万8千人の方が大腸がんで亡くなっています。また、大腸がんに罹っている人の割合は、人口10万人あたり、男性で約 68人、女性で36.5人と推定され、60歳を越えると急激に増加することが報告されています。

大腸がんも早期の場合には、ほとんど自覚症状がありません。しかし、大腸がんは早期に発見・治療すればほぼ100%治癒が期待できます。そこで本講座では、早期の大腸がんをいかに早く見つけ、治療するかについてお話ししました。ところで、大腸の『ポリープ』と『がん』はどんな関係にあるのでしょうか?大腸のポリープとは、大腸の内側に限局して突び出した出っ張りのことを指し、いろいろな疾患が含まれています。

このうち、がんと密接な関係にあるのが、『腺腫』と呼ばれるもので、大腸の表面を覆っている粘膜から発生し、良・悪性(がん)の境界に位置する腫瘍で、顕微鏡検査によって最終的に診断されます。また、腺腫はポリープのうちでも発見される頻度が高い疾患でもあるのです。一方、大腸がんは大腸粘膜から発生した上皮生の悪性腫瘍を指し、放っておけばあちこちの臓器に飛び火(転移)し、ついには人間を死に至らしめる病気です。

この大腸がんの発育過程には、2つのルートが考えられています。ひとつは、腺腫が次第に大きくなって癌化するもの、もうひとつは初めからがんとして発育するものです。腺腫から癌化するものと、初めからがんとして発育するものがどれくらいの割合であるかについては、まだ明らかになっていませんが、腺腫から発生するものがあることは確かめられています。

しかし、今ある腺腫が将来がんになる危険性が高いか否かについて判定する方法は、残念ながらわかっていません。ただ、腺腫が大きくなるに従って、その一部が癌化していることが多く、大きさが2cm越えると約半数にがん病巣がみられることが知られています。そこで、現在では大きさが5mm以上の腺腫に対しては内視鏡的ポリープ切除術が積極的に行われています。

大腸がんはある程度進行すると、血便、下腹部痛、便通異常(下痢・便秘)、残便感、便が細い、貧血などの症状がでてきますが、早期のがんあるいは腺腫の多くでは自覚症状がないのが普通です。では自覚症状のない大腸の腺腫あるいは早期がんは、どのように発見されているのでしょうか。

実は『検便』という最も簡単な方法で発見されています。市民健診や職場での大腸がん検診は検便で、便の中に血液の成分であるヘモグロビンが含まれているかを判定しています。この検査は、腺腫やがんは大きくなると形が崩れ、その表面から血液がにじみ出てくることを応用しているのです。

そして、検便が陽性の場合、レントゲンや内視鏡で病変がないかを調べます。もし、病変が発見された場合には、内視鏡検査を行い、可能であれば様々な方法を駆使して、内視鏡的に切除します。切除した病変を顕微鏡で調べ、腺腫か、早期のがんであるかを判定し、腺腫あるいは早期がんの中でもごく表面だけにがん細胞がある(粘膜内がん)場合には、これで治療が終了します。したがって、腺腫を切除することは、大腸がんの予防にもつながる訳です。

このように、早期に発見すれば助かる大腸がんは、検便を行うことで簡便に発見されることが多い訳ですから、少なくとも年に1回検便検査を是非受けて下さい。そして、陽性であった場合には、躊躇することなく、医療機関を受診し、さらに詳しい検査を受けて下さい。自分の健康を守るのはあなた自身です。

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