第11回「肝炎の最新治療」

名古屋市立東部医療センター 市民健康講座

肝炎の最新治療

開催日:平成17年7月20日(水曜日)
演者:感染症科部長 水野 芳樹

肝炎のイラスト今回は特に慢性B型肝炎やC型肝炎の治療についてお話します。慢性肝炎は直接生死には関与しませんが、肝臓癌(他部位から肝臓に転移した癌は除く)や肝硬変症の前段階として、とても重要です。何故なら肝臓癌の94%、肝硬変症の77%はB型やC型肝炎ウイルスが関与しているという報告があるように、肝臓癌や肝硬変症対策には、自覚症状の軽く、緩慢に進行する慢性肝炎の段階で治療するのが合理的な理由です。

また最近の研究ではウイルスの活動を抑えたり、肝障害を軽く(GOTやGPTなどの数値を低値)するほど、肝硬変への進展を抑制したり、肝臓癌の発生を減少させることが明らかになり、またウイルスによる炎症を排除できると痛んだ肝臓も回復可能であることが判りました。一口に慢性肝炎の治療でも、B型肝炎とC型肝炎は感染経路や治療状況が異なりますので、各々について説明します。

B型肝炎は出生時に母親から子供に感染する母子感染が感染の大部分をしめ、ワクチンや感染対策により新規の患者は激減していますが、現在も30歳以上にB型肝炎ウイルス保菌者は100万人以上みえます。従来、治療は難しかったですが、ウイルスを直接標的にした抗ウイルス剤が2000年以降に認可され(ラミブジン、アデフォビル)、劇的な効果をもたらす様になりました。

さらに新規の薬剤の認可も予定され、薬剤耐性ウイルスの出現や安全性の確立にもう少し時間は要しますが、ここ数年で大きな進歩を認めています。 C型肝炎は、成人になってからの感染で容易に慢性化をきたし、感染者はB型肝炎同様100万人以上を数え、B型以上に肝硬変症や肝臓癌の高いリスクをもち、この対応は非常に重要です。

治療はウイルスを排除し感染を終息させる原因治療と、できるだけ肝炎を抑え、肝硬変・肝臓癌への進展を阻止する対症治療に大別できます。原因治療は1992年より開始されたインターフェロン治療で、ウイルスを体より排除します。

2000年以降次世代のインターフェロンやペグインターフェロンや抗ウイルス剤の導入により一段と治療効果は高くなっています。治療効果は難治タイプの高ウイルスグループでも50%以上、それ以外のグループでは90%以上は完治可能になってきました。

対症療法は、高齢やインターフェロン無効・副作用で中止例に対して、強力ミノファーゲンやウルソ、漢方薬、瀉血、インターフェロン少量投与などによりウイルスの活動を抑えたり、肝硬変への進展を抑制したり、肝臓癌の発生を減少させることを目的に治療を積極的に行っています。

慢性肝炎は自覚症状に乏しく、自己判断もかなり困難であり、また最近の新薬の開発や治療状況も大きく変化しています。一度検査を受けられたり、肝炎治療中で現在の治療にお悩みの方があれば、お気軽にご相談ください。

[このページの先頭へ]