第9回「更年期障害のお話」

名古屋市立東部医療センター 市民健康講座

更年期障害のお話

開催日:平成17年5月18日(水曜日)
演者:産婦人科部長 村上 勇 助産師長 吉田 典子
更年期障害のお話
産婦人科部長 村上 勇

女性のイラスト女性には子宮、卵巣、乳房という特有の器官があり、卵巣から分泌される女性ホルモンが重要な働きをしています。卵巣からはエストロゲン、プロゲステロンというホルモンが分泌されますが、これらのホルモンは頭から出る性腺刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモンにより調節されています。この調節機構がうまく働くことにより周期的に月経が起こりますが、卵巣の働きが衰える更年期では月経周期が不順になり、最終的に閉経を迎えます。この更年期から閉経期でのいろいろな症状に、深く関連するのがエストロゲンです。

エストロゲンが体の中で果たす役割は様々で、生殖機能以外には、1)皮膚や粘膜の乾燥や萎縮を防ぐ 2)骨が壊れるのを防ぐ 3)善玉(HDL)コレステロールの増加および悪玉(LDL)コレステロールの減少などがあります。エストロゲンは更年期で急激に減少するため、この時期に更年期障害が起こり、また長期的にみると骨粗鬆症、高脂血症を引き起こします。更年期障害の症状としては、ほてり、発汗が代表的なものですが、しびれ、いらいら、不眠、肩こりなど実に様々な不調が現れます。発症の要因として性格(几帳面)、環境の変化(家族、社会生活)の関与があげられています。

他の病気との鑑別が必要な場合があり、内科、整形外科、精神神経科への受診をお勧めすることもあります。治療としては、従来から行われている漢方薬がありますが、最近ではホルモン補充療法が広まってきています。これは減少した女性ホルモンを補う治療で、効果が高くしかも即効性があり、数週間で効果が実感できます。

また他のメリットとしては骨粗鬆症、高脂血症の予防や大腸癌のリスクの減少などがいわれています。しかしながら注意すべき点もあり、長期間の投与で乳癌、心筋梗塞などのリスクが高まるといった外国での報告がみられますので、メリットならびにデメリットを十分理解して治療を受けていただきたいと思います。薬の形も飲み薬または貼り薬(パッチ製剤)がありますので、それぞれに合った形を選択していただくとよいでしょう。

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中高年期をいきいき過ごす
南1階病棟助産師長 吉田 典子

中高年にかかってくると、ホルモンのバランスが崩れるとともに、それまでの生活習慣の積み重ねから、様々な生活習慣病が起こりやすいものです。それを防ぎ、より快適に更年期以降を過ごすには、日常生活での工夫が大切です。

更年期以降の健康を保つため、最も重要なのが肥満の予防です。歳をとると基礎代謝量が落ち、若いときと同じ内容の食事をしていても余分なカロリーが脂肪として蓄えられてしまうことになります。食事は腹八分目にし、間食などはなるべく控えるようにしましょう。また太りにくい体にするには、筋肉をつけるのが一番です。筋肉が増えれば増えるほど基礎代謝量も上がります。

適度な運動を心がけてください。食事はバランスのよいものを適量食べることです。

食生活のポイント

  • 様々な食材を組み合わせ、多種類の食材を取るようにする。
  • 1日の摂取カロリーは1500~1800Kcal程度にする。
  • 肉や油を控え、魚や野菜・豆を多く取る。
  • カルシウムを多く含む食事を取る。
  • 大豆製品を積極的に取る。
  • 体の酸化を防ぐ抗酸化物質を積極的に取る。
  • 食物繊維を多く含む食事を取る。
  • 塩分を控える。
  • 間食は1日100Kcal程度にする。

食事とともに大切なのが運動です。運動には肥満や便秘を防止するだけでなく、ストレスの解消や骨を丈夫にするといった効果もあるのです。ウォーキングは、負荷が少なくいつでもできる運動なのでお薦めです。1日20分以上、週3回以上を目安にすると効果的です。1日に10分でも、回数を多くすれば効果が出るといったデータもあるので、こまめに歩く機会を作るといいでしょう。

このほか、規則正しい生活をするのも大切です。特に睡眠不足は自律神経の働きを悪くするので厳禁です。十分な睡眠をとることを心がけましょう。また、ストレスによって更年期症状が重くなることも少なくありません。
まずは一人で悩みを抱え込まないことです。そのためには、気軽に何でも話せる友人を持ち、ちょっとした悩み事などを相談できると気持ちがずいぶん楽になるのでよいでしょう。

そして、なるべく物事をポジティブに考えることです。済んだことをくよくよ考えすぎたり、取り越し苦労をしないようにしましょう。更年期には心身ともに不調が現れている人が少なくありませんが、それをサポートしてくれる様々な職種の人がいます。医師・保健師・看護師・薬剤師・カウンセラーなどです。困ったときには一人で悩まず、相談してみましょう。

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